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トップの提言〜ものの考え方〜

300人までの企業では優秀な人がいない方が良い?

  300人のカベを越えるのに苦しんでいる会社には共通点がある。経営者がカリスマ的であり、社員が社長への依存心が強く素直でよく言う事を聞く。逆にイエスマンを作れなければ300人までにはなれない。自己主張が強く、優秀で経営者の言う事を聞かない人がいる会社は300人までの組織にはなれない。優秀な人がおれば経営者はその人に頼ってしまい、普通の人が育つしくみが作れないからである。今回はこの逆説的なテーマについて考えてみたい。うまくいっている 300人までの組織には、経営者に依存せずに会社の将来を考えている社員がほとんどいないのである。経営者は社員から信頼され、社員は経営者の要求を聞き、何とか実現しようと協力している。一方30人、50人、100人のカベを越えられずにいる企業を見てみると経営者と張り合っている優秀な社員が存在する。小さいうちにあれもこれも多角化をしており、それぞれの事業には職人として優秀な人間がいたる所に存在する。つまり人に頼ると、しくみが出来ずに大きくなれない。一方人がいないと「今いる人材でなんとかせねば」と経営者が社員を活用し、幸せにするために知恵を絞り、すばらしいビジネスモデルが出来る。事業領域が良ければ仕事は次々と来る。商品が良ければだれでも売れる。営業マーケティング構造が良ければ黙っていても売れる。業務プロセス・キャリアパスが整備されておれば、多少能力が低い人でも同じ仕事の繰り返しで短時間で一人前になれる。これらを作るのは経営者であり、作る過程で多くの反対を押し切って経営者のリーダーシップで美しいモデルが形成される。その過程で自己主張が強い人は組織から離れていく。結果的に経営者の言うことを聞く社員が残る。そして依頼心が強くなる。
 しかし300人を越えてからは社員一人一人が自立し、抜本革新しなければならない。事業のあり方を変えなければならない。そこに新事業開拓を推進し、プロジェクトチーム、社内イベントなどの自発的な活動を支援するしくみが必要となり、自己組織性(自己増殖機能)が必要になる。

2010.6.3.


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