HOME › トップの提言〜ものの考え方〜 › 「小さな悟り」 を読んで

トップの提言〜ものの考え方〜

「小さな悟り」 を読んで

 感想文:大阪営業所 橋本廣明

「諸行無常」は、仏教の根本思想の1つです。世の中のすべてのことは「常ならず」「森羅万象、この世で起きることは、一切が片時も留まっていない」という教えと説いている。

ところが人間というのは、自分に降りかかる変化を嫌って、「無常」に逆らおうとする。どんなにがんばって無理をしても、どうしようもないことがある。まずは、無常を受け入れ、無常の流れに身を任せたほうがいい。気持ちが楽になるし、いい方向に向かっていきます。自分自身に向かって「無常、無常、諸行無常。すべてのことは、常ならず。」今、好ましくない状況にあっても「やがてよくなる」と思うべきです。逆に今が絶好調であれば、「同じ状況が長く続くとは限らない。有頂天になってはいけない」と気持ちを引き締めます。

体力、気力が衰えていると、いつも通りにことはうまく運べません。「自分は衰えを知らない人間のはずだ」「どんな状況であれ、ことを成し遂げることができる。」無理をすることにより、破綻をきたします。健康な体があってこその人生です。常に変化する心身の状態に合わせて対応することが大事です。

禅にはよく「雲」という言葉が出てきます。「白雲自在」「雲無心出岫(雲無心にして岫を出ず)」「行到水窮処 坐看雲起時(坐しては看る雲の起こるとき)」空に湧き上がった雲が、風の吹くままに自在に形を変えながら、しかし雲としての本質・本文を失うことなく、ゆうゆうと流れていく。そして、やがて跡形もなく消えていく。生き方になぞらえた言葉です。

先日、アルゼンチン西部にある南米大陸最高峰アコンカグア(6959メートル)への登頂を断念した冒険家、三浦雄一郎さん(86)は、今度は90歳でエベレスト登頂を目指すという。飽くなき挑戦の陰には、たゆまぬ努力と自分に負けない気力が満ち溢れている。人生の過ごし方、死に際に後悔がないように準備する姿勢は大事だと常に思う。とても真似はできないが、考え方を見習う価値は大きい。

2019.1.31.


このページの先頭へ