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盛和塾119号 「フィロソフィで経営を伸ばす」 石川喜平社長 (3)

感想文:河合孝一郎

 言葉は力なり。これはあの稲盛和夫氏が主宰する盛和塾の機関紙に掲載された石川喜平社長の哲学、生き方である。
 今は満ち足りた若者もやがて人生、仕事について悩み、孤立し、考えるだろう。自分は何のために生まれてきたのか。そして何のために働くのか。本当の幸せとは。いつかひとりになったときにこれを思い出して読めばよい。
 この中で二人の偉大な人物がわが社と社長に多大な影響をあたえたことが分かる。一人は先代の社長石川善太郎氏である。「8441哲学」。早いことはよいこと、とはなんとオリジナリティーにあふれ、ユニークで実学的な考え方だろう。
 下手の考え休むに似たり。人はなにかにつけて迷うものである。この中で社長は私たちにひとつのヒントをくれる。「ごちゃごちゃ余計なことを思ったり、わからない先のことを心配したり雑念にあふれていては実践することはできません」、「目がさめたらすぐ起きる」、「気づいたことをすぐやる」。私は社長のことを「歩きながら考える人」とよぶ。考えてから歩こうとすれば、いつになっても歩くことはできない。行動しながら考えるのだ。思考と行動は相互補助によってはじめて健全なものとなることを身をもって実学で教えてくれる。
 そしてもう一人、稲盛和夫氏。社長の最大の師。精神的なもう一人の父親といってもよいだろう。二人の父親がそれぞれの生き方を教えた。社長は語る。「経営のことがわからなければ、わかっている人から借りてきて自分のものにすればよい」。社長は影響をうけ、学び、真似し、がりがりと噛み砕き、咀嚼し、消化し、血肉化して自分の会社にあうフィロソフィーを創った。思想、哲学、人間学のない者はリーダーの資格がないことを初めから知っていたのだ。
 この中で社長は「社員ひとりひとりが仕事を通じて人間的に成長し仕事の喜びをともに分かち合いたい」という。そして「家族のように思いやりの心をもってお互いを高め合いたい」と語る。つまり心を高めることである。
 わが社、ツバメ工業の社員、そして私はこの掲載されたすばらしい贈り物のような数々の文章の中からきっと「仕事を通じて人間は成長し、次に成長した人間が世の為、人の為に恩返しする」という連鎖を学び、血肉化するだろう。
 すべての若者がジェームスディーンに憧れたように、すべての歌手がフランクシナトラになろうとしたように、すべての経営者は稲盛和夫をめざす。

2013.5.8.


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