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「出世する人、しない人」高橋秀実(ひでみね)を読んで

感想文:木村加代子


 著者から見た出世する人の特徴は、まず「仕事ができない」ということだと言う。仕事ができる有能な人材の方が意外にも出世しないともいう。理由に、仕事ができない人は「できない」ことをさらけ出し、自分はできないから人にやってもらうしかなく、それを自覚するゆえか愛想がよく、まわりも思わず手を貸したくなるのだと考察している。
 実際、こういう人がリーダーになると組織は活性化する。例えば会議でも、まずダメなアイデアを口にする。部下達は「そんなんじゃダメですよ」と思い、次々とアイデアを出す、というか出しやすくなる。リーダーがダメだから俺が頑張ってあげようと、優越感とともに能力以上の成果を上げたりするのだ。
 逆に、リーダーが「できる人」だと部下は従うしかない。ミスを犯さないように萎縮したりするので、アイデアもリーダーの考えのミニチュアになりがち。常に新しいアイデアが求められる組織にとっては何の益もないのである、とまで言い切る。リーダーには統率力や決断力が必要などとよく言われるが、本当に大切なのは本人の能力より、人の能力を引き出す「引力」なのではないか、という著者の考えだが、私の考えは、やはりリーダーには相当の能力人徳が必要で、そういうリーダーは引力も備わっていると考える。
 先日、社長とジェイック知見地さんとお会いした時、部下の長所を引き出し伸ばすことが大切、会社組織の中で一人一人が長所を生かせる部署に配置されているか、相性の問題、などについても助言頂いた事と、「引力」は繋がる事だと感じた。「これは仕事の本質といえるかもしれない」とまで著者は言い切る理由に、仕事というと、「やりがい」「能力を生かす」「自己実現」などと自分のためであるかのように語られがちだが、本来「仕事」とは他人に仕える事。「できない人」に代わってやる、できないで困っている事を解決してあげるのが仕事なのである、と定義づけているからである。
 昨日、「7つの習慣」の勉強会に参加させていだだいたが、そこで勉強した「自分自身が変わらないと周りは変わらない」「理解してから理解される」「信頼残高」など改めて目的を持ってどう生きていくかを考えさせられた。また、違う環境や体験で生きてきた人間の集まりでは違う意見、考え方が当たり前で、逆に同じ意見が二人居たら一人は必要ない、と考える、違う考えをもつ集団が大切との考え方は衝撃に近いものがあった。
 まとまり、和を重んじる私には深く考えたい宿題になった。出世するしない、が重要なのではなく、仕事を上手くやっていくには、7つの習慣で説いている考え方や、人の能力や長所を引き出す、もちろん自分の長所も生かす事が大切だと思う。
 自分自身といつも真っ直ぐ向き合う事から始まる。

2011.9.17.


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